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陰翳の煌き

万華鏡

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万華鏡を覗くと とても懐かしい気持ちになる。
実際 子供の頃に覗いたのは数えられるくらいなのだが
言葉では言い表せない美しさに 夢中になってしまう。

万華鏡=覗くまで分からない⇒好奇心=子供の頃⇒懐かしい・・

この万華鏡は、中に何か文様をつくるものが入っているという種類ではなく、
外の風景が光として入り それが文様をつくる。なので、物との距離によって模様も変わってくる。



万華鏡を覗くと いつも思い出す遊びがある。

私の育った家は明治の頃 移築して建てられた かなり古い家だった。 天井や梁などは長年の煤で真っ黒・・ 家の中は北側の部屋は暗く 納戸にしてあった部屋の天井などは 板が一枚はずれてすっぽり開いていて そこには何か別の世界の入り口と思えるような四角の どこまでも深い闇があった。

子供の頃 家で一番大きな鏡を 両手で水平に抱え 映っている天井を見て「自分は天井を歩いているんだ!」と思い込みながら 家中を歩き回って遊んだ。うまくいくと本当に天井を歩いている感じになり ワクワクしてくる。 部屋と部屋の間では どっこいしょと 鴨居をまたぐのである。

一番怖いのはやはり真っ暗の納戸。 そこは他より天井がとくに高く 鏡から覗くと 深くなっているように見える。飛び降りるような気持ちで納戸へ移り 天井板のはずれているところは その闇の先に何かがいそうだったので ハラハラしながら そのきわを落ちないように逃げるように歩き去った。

こういうことをしていたからか 『天井桟敷の・・』とか『屋根裏の・・』とかいう題名には惹かれる。江戸川乱歩の小説・・とくに『人間椅子』など読むと とてもリアルなものに感じた。 江戸川乱歩と万華鏡 なにか通じる世界がある。
by ukishimakan | 2008-12-26 00:40 |