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陰翳の煌き

花の薪能「半蔀」 2009 健軍神社

花の薪能「半蔀」 2009 健軍神社_b0152027_17412179.jpg花の薪能「半蔀」 2009 健軍神社_b0152027_17414260.jpg

薪能は大桜の下 夕刻から始まった。
次第に闇が深まり 時折り吹く風が 花を散らせ炎の影を揺らす・・

笛が高く鳴った瞬間 風は起こった。
散る桜の花びら・・ 舞の妖艶さ・・ 衣装の煌びやかさ・・ 謡や鼓の音の響き・・ 面の微妙な表情・・

いくつもの美しいものが同時に現れ そのどれも見落とさず 感じたい!と そう願ったとき
頭の中でのその情報処理が間に合わず 自分の中に微妙な迷いとパニックが起こる ・・
そしてそれが幽玄な世界への導きとなった。



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能の魅力は幽玄さにある。

しかし 能の幽玄さは結果であって 初めからそれを醸し出そうという目的はないのではないだろうか?
それは 風を呼び寄せるように 自然の中の何ものかを出現させようとして 生みだされたものかもしれない。

能の源流のひとつ・・“田楽”を想う。
それがどういうものかよく知らないが そのまた源流には雨乞いなどのような“祈り”が あるのではないだろうか・・

人間が風を呼び 雨を呼ぶ・・。
そのひとつの装置のような役目が 舞や音楽?にはあったはずである。

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花の薪能「半蔀」 2009 健軍神社_b0152027_22572612.jpg

演能の舞や音が風を起こしたと思える程に 自然と一体になった素晴らしい能の公演だった。
シテは 喜多流能楽師・狩野琇鵬氏。毎年4月6日この健軍神社で ユニセフ協賛チャリティーとして公演されている。

※「半蔀(はじとみ)」    夕顔の霊が光源氏との思い出を語り 舞をまう・・。
by ukishimakan | 2009-04-09 22:39