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陰翳の煌き

特別展『よみがえる国宝』- 守り伝える日本の美 -

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会場は 源頼朝像と平重盛像の国宝二点が対になって展示され とても高貴な空気に包まれていた。
今回 よくぞこのような展覧会をやってくれた!と 大変ありがたい気持ちになった。

背景は金泥を塗りこめたような輝きある古色、 畳の部分の白緑の剥落したあとは青金を塗ったかのよう・・。
衣の文様は 写真だと全部が同じに見えるけれど 実物はかなり大きいので 見る視点により部分的に文様が
浮かび上がってくるのである。そして文様が見えないところは 美しく深い黒となる。



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もうこの二点を観ただけで十分満足だが・・
他に「春日権現験記絵」や「六道絵」など滅多にお目にかかれないものも並んだ。
春日権現験記絵は 濃密な衣装の彩色が美しく 人の表情や息づかい・・他の絵巻物にはない リアリティーの
強く感じられる作品だった。

「原品の作者と同等以上の技量と精神力を持ちつつ 自己の創造力を律する高い精神性が要求されている・・」と
壁には模写に関しての素敵な解説がある。



(画像は九州国立博物館から提供) 




「頼朝像」部分
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六道絵
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これらの場面は写生を基に描かれている。
その基になった写生も一緒に並ぶと面白かったと思うが 生々しくて展示に向かなかったのだろうか。
 
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六道絵は全15幅だが 一幅のみの展示となっていた。何か制約があったのかもしれないが できれば せめて三幅ずつは並ばないと 六道絵の発する怖ろしさの中の美しさ、また説得力と意図するもの そんなものが稀薄に感じられてしまった。

六道絵は かなり細かい描写がなされている。掛軸だから掛ける・・というのではなく 作品によっては絵巻物と同じような展示にし 細かい表現を十分堪能できるようにするのもひとつだと思う。とくに今回は“守り伝える日本の美”というものがテーマなので 間近で作品が観られ その劣化した絹などの素材感まで感じとられる展示となったらもっと嬉しかった。

しかし いつかは観たいと思っていた六道絵・・。ここでやっと観ることができ 溜飲が下がる思いがした。

by ukishimakan | 2011-08-05 01:05 | 展覧会