幻影の美
先日 美術館で一枚の女性像をみた。
作品は ある女性の写真を基に加工し 背景は金紙を平面的に用いて作られていた。私は心惹かれたので 暫く立ち止まって観ていた。
30代くらいだろうか…?
その佇まい 少し切れ長の目と その眼差し 指の表情。 こんな日本的な美しさをもった女性はあまり見たことがない…。 そこには 以前 文楽で「曽根崎心中」を観たときに見えた幻影に通ずる美しさがあった。
文楽では 見入って暫くすると 浄瑠璃の声が 若い女の文楽人形にのり移り さらに目の錯覚か?時折 チラッ チラッと女性の美しい幻影が 現われる。その瞬間 はっとする。 まさにそこに本物の場面が見えた!…と 。
私は観たことがないが 女形の玉三郎も同じようなことが起こるのではないだろうか。
女性は20代より30代でさらに美しくなるという。自分の胸が少し熱くなるのを感じながら これって“恋?!”と疑う。
いつまでいても仕方がないから 展覧会場をあとにしようとしたところ カウンターの男性から「日本画の…さん ですね!」と突然 声をかけられた。
不意にフルネームで呼ばれたので「は、はい そうですが、、、」と どぎまぎしながら答えると・・
男性 「美人でしょう?」 と ストレートに…
私 「そうですね!なかなか あのような人はいませんよねー。見惚れてました!」「あの作品を作られた方ですか?」
男性 「そうです。・・実はモデルなんですよ。」「みんな モデルがいいっ!て言うんですよー」「よかったら 紹介しますよ!」
私 「いや、私には 恐れ多い感じがして、、、」
男性 「彼女は 新しい人を知りたがっているのですよ・・・!」と、、
私 「・・・」
自分は 喪黒福蔵に声をかけられた「笑うセールスマン」の登場人物になったように 迷いと葛藤が少しずつ湧きあがってくるのを感じながら 美術館をあとにした。
作品を通して 人と人とが 同じイメージをここまで共有出来るものかと 感心した。作者は その女性から“あるもの”を感じ それをしっかりと捉え そのイメージをそのまま表現しようと “見えるもの”から余分なものを 少しずつ差し引いていった。そして 残った形をさらに部分的に消して隠していった。そのようにして出来た作品だと思った。
今も自分は まだ「笑うセールスマン」の登場人物なのだろうか?
作品は ある女性の写真を基に加工し 背景は金紙を平面的に用いて作られていた。私は心惹かれたので 暫く立ち止まって観ていた。
30代くらいだろうか…?
その佇まい 少し切れ長の目と その眼差し 指の表情。 こんな日本的な美しさをもった女性はあまり見たことがない…。 そこには 以前 文楽で「曽根崎心中」を観たときに見えた幻影に通ずる美しさがあった。
文楽では 見入って暫くすると 浄瑠璃の声が 若い女の文楽人形にのり移り さらに目の錯覚か?時折 チラッ チラッと女性の美しい幻影が 現われる。その瞬間 はっとする。 まさにそこに本物の場面が見えた!…と 。
私は観たことがないが 女形の玉三郎も同じようなことが起こるのではないだろうか。
女性は20代より30代でさらに美しくなるという。自分の胸が少し熱くなるのを感じながら これって“恋?!”と疑う。
いつまでいても仕方がないから 展覧会場をあとにしようとしたところ カウンターの男性から「日本画の…さん ですね!」と突然 声をかけられた。
不意にフルネームで呼ばれたので「は、はい そうですが、、、」と どぎまぎしながら答えると・・
男性 「美人でしょう?」 と ストレートに…
私 「そうですね!なかなか あのような人はいませんよねー。見惚れてました!」「あの作品を作られた方ですか?」
男性 「そうです。・・実はモデルなんですよ。」「みんな モデルがいいっ!て言うんですよー」「よかったら 紹介しますよ!」
私 「いや、私には 恐れ多い感じがして、、、」
男性 「彼女は 新しい人を知りたがっているのですよ・・・!」と、、
私 「・・・」
自分は 喪黒福蔵に声をかけられた「笑うセールスマン」の登場人物になったように 迷いと葛藤が少しずつ湧きあがってくるのを感じながら 美術館をあとにした。
作品を通して 人と人とが 同じイメージをここまで共有出来るものかと 感心した。作者は その女性から“あるもの”を感じ それをしっかりと捉え そのイメージをそのまま表現しようと “見えるもの”から余分なものを 少しずつ差し引いていった。そして 残った形をさらに部分的に消して隠していった。そのようにして出来た作品だと思った。
今も自分は まだ「笑うセールスマン」の登場人物なのだろうか?
by ukishimakan
| 2008-08-16 10:40
| 展覧会